« サンタフェちゃん | トップページ | 12/27付けのサンタフェ »

サラブレッドが辿る末路:その実態について

今号のPETAの冊子には日本における引退競走馬の覆面調査の記事が掲載されていたので、ざっと訳します。競馬ファンには水を差すようで悪いけど、これが大半の競走馬の末路です。こうした現状に目をつむって、鈍感になってはいけないと思います。

********************************

Animal Times 2009年秋号の記事より

"サラブレッドたちを屠殺から救うためのPETAの取り組み"

カリスマティック号とウォー・エンブレム号がケンタッキー・ダービーで優勝したのはちょうど2,3年前のことだが、かつてあれほど愛された馬たちは今、遠く離れた日本にいる。PETAの最新の覆面調査によると、彼らはいつペットフードにされてもおかしくない状況にある。

缶詰の中の「余生」

競馬業界で一生懸命に走ってくれた多くの馬には、屠殺場送りという恐ろしいご褒美が待っている。長年の人間による使役や虐待の末、ほとんどの競走馬は、売却要求競馬(レース後に売却される)で安く売り飛ばされることになる。馬主は、馬が金を稼げなくなると、商品のように馬を売買するのである。馬たちは、「ミートマン」によって直接競馬場から回収される。その数字はショッキングなものだ。毎年、10万頭のアメリカの馬がぎゅうぎゅうづめのトラックでメキシコやカナダの屠殺場に輸送されるが、そのうちの12,000頭がサラブレッドの競走馬であった。その他の馬は、競馬や繁殖用に出荷されるが、彼らも最終的にはドッグフードにされる。

「勝ち馬」でさえ負ける

人気馬だって身の安全は保証されない。1986年のケンタッキー・ダービーの勝者、ファーディナンド(Ferdinand)は、日本の繁殖業者に売られた後、2002年に屠殺された。覆面調査中、PETAは、ほかにも2頭のケンタッキー・ダービーの勝者、カリスマティックとウォー・エンブレムが現在、日本の繁殖場にいることを突き止めた。2頭とも、ファーディナンドが屠殺された2002年に日本に送られている。2頭の繁殖はあまりうまくいっていない。種馬としての価値がなくなりつつあるので、まもなくファーディナンドと同じ運命をたどるかもしれない。

日本への切符は片道だけ

ファーディナンドの屠殺後、毎年2000頭以上のアメリカの競走馬が日本に送られている。その多くはあまり有名ではない馬たちだ。ほとんどは牝馬で、種雌馬となる。繁殖用に使えなくなった後、アメリカに送り返されるのはいるかいないかである。日本の競走馬の90%は引退後、屠殺場送りになる。去年日本で殺された馬は全種合わせて2万頭で、その目的の大半はペットフード用か食肉用である。

恐ろしい最後の数分間

PETAの調査員は、日本最大の馬の屠殺場である熊本食肉センター内部でビデオを撮影した。PETAのビデオ(ESPNのOutside the Linesに掲載)からは、ファーディナンドの最後がどのようなものであったかを察することができる。サラブレッドは屠殺の直前に水をかけられ、屠殺室にいれられる。作業者は金属棒で足を殴って、馬を屠殺の位置につかせる。恐怖で混乱した馬はパニックになり、端綱を抜けて逃げようとするが、すぐに捕まり、数分後にボルトショット(電気銃?)を頭に打ち込まれて殺される。

大量繁殖が生み出す悲惨さ

日本に数多くある繁殖場の1つ、社台スタリオンステーションでは、毎年、33頭の種馬たちが4800頭の雌馬を受胎させており、北米では年間5万頭以上のサラブレッドを生産している。日本とアメリカの繁殖業界のせいで、馬の数が過剰に膨れ上がり、不要になった「余剰」競走馬が屠殺場送りになるという状況に直接つながっている。増えすぎた犬猫の数をストップさせる最良の解決策が去勢プログラムであるように、屠殺場送りになる馬の数を減らすには、繁殖を緊急に規制する必要がある。

馬に希望はあるか?

アメリカの競馬業界は深刻な低迷状態にある。去年、エイト・ベルズがケンタッキー・ダービーで死んだことで、一般市民の怒りが高まった結果、議会聴聞会が開かれ、福祉改革が急速に進むこととなった。競馬の観客は大幅に減り、レース日をキャンセルしたり、完全に閉鎖されたりした競馬場も多い。ほとんどの競馬場は現在、生き残るためにスロットマシンで得られた収益による助成金を受けている。

 しかし、日本では他のどの国よりも、より多くの賭け金が競馬に投じられている。アメリカのサラブレッドの輸出が日本の競馬会に火を注いでいる。これをやめさせるには、あなたの助けが必要だ。

あなたにできること~日本への馬の輸出をストップさせよう

・National Thoroughbred Racing Association(NTRA) に投稿して、日本への馬の輸出をすぐにやめるように働きかけ、競走馬の大量生産をストップさせるための規制を設けるように依頼しよう。投稿先:Alex Waldrop, CEO, NTRA, 2525 Harrodsburg Rd., Ste. 400, Lexington, KY 40504, 800-792-872, ntra@ntra.com

・競馬の観戦をやめることで、競馬業界をささえるのをやめよう。

・この記事を他の人にも紹介して、馬の置かれている状況を広く知らせる。

カリスマティック

カリスマティックはケンタッキー・ダービーとPreakness Stakesで1999年に優勝したが、足を骨折。アメリカでは年間、1200頭以上の競走馬がレース中に致命的な骨折をおっている。カリスマティックは6時間もかけて足の手術をしたが、2002年に日本に売られた。しかし、彼の繁殖歴は失敗に終わる。PETAの調査員は、日本のミサワにいるカリスマティックを撮影したが、彼は現在、下のレベルの繁殖施設に格下げされている。

ウォー・エンブレム

2002年にケンタッキー・ダービーなどで優勝後、繁殖用として、日本の社台スタリオンステーションに売られたが、繁殖は大失敗に終わった。定期的にステロイドを注射して、性ホルモンのレベルを上げようとしたが、交尾を拒み、2年間、1頭の子馬も生まれなかった。ウォー・エンブレムの馬主はPETAに「ウォー・エンブレムは競走馬時代にステロイドを大量に打たれているので、注射なしでは種馬として機能しない」と語っている。

« サンタフェちゃん | トップページ | 12/27付けのサンタフェ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: サラブレッドが辿る末路:その実態について:

« サンタフェちゃん | トップページ | 12/27付けのサンタフェ »

2019年1月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

哲学エッセイ

  • 池田晶子: 暮らしの哲学
    (★★★★★)

鳥本

  • アネット・ヴォールター: ザ・セキセイインコ
  • ニッキー・ムスタキ: ザ・ヨウム

DVD

  • シーズン1
    ヒュー・ローリー: Dr. House